転職活動で最初に企業にアピールできるチャンスが書類選考です。そこを通らなければ面接に進めないケースもあり、転職活動の最初の難関と言っても良いでしょう。

書類選考では主に履歴書や職務経歴書の内容で判断されますが、その中でも自己PRは直接、自身をアピールできる項目であり、しっかりと活用しましょう。

新卒も転職も基本的な文書作成のマナーは同じですが、自己PRはそれまでの経験を踏まえて強みをアピールするケースが多く、特に転職の場合はその状況に応じた書き方、自己PRを考える必要があります。

そこで、転職の自己PRの書き方の基本についてご紹介します。

読む人の立ち場に立って考える

転職活動では、面接と同時に履歴書と職務経歴書を提出する場合もありますが、先に履歴書や職務経歴書を提出する場合や、面接の前に書類選考を行う場合もあります。

その場合は、応募者の情報は応募書類しかありませんから、採用担当者は応募書類の限られた情報から応募者の事を読み取ろうとします。

履歴書や職務経歴書の内容はもちろん、写真の表情や服装、字の大きさや綺麗さ、文章のまとめ方など、全てが応募者の第一印象に繋がります。

その事を念頭に、応募書類は手書きの場合はできるだけ丁寧に書きましょう。また、貼付する写真の表情はできるだけ明るく、応募に適した服装にします。

そして、文章は起承転結と簡潔さを意識した読みやすくするなど、応募書類の作成には細心の注意を払いましょう。

読みやすい応募書類を書く為には、それを読む人事担当者や経営者の立ち場に立って考える、読む人がどのように感じるのかをしっかりと想像する事が大切です。これは自己PRを書くときも同じです。

書類作成が苦手な人や面倒に感じる人もいますが、落ち着いて取り組む、そのひと手間が、相手に与える印象に大きく影響を与える事を忘れないようにしましょう。

ポジティブな内容にする

当然の事ですが、採用担当者や経営者は自社で活躍する人材を求めています。それを判断する上で、明るさや積極性、前向きな発想、粘り強さなど、ポジティブな面をどれだけ持っているかが重要になります。

特に自己PRは自分の良いところをアピールするチャンスですから、採用担当者にポジティブな印象を与える上で、最も効果的な機会になります。

しかし、気をつけたいのは、自己PRは度が過ぎると、自惚れや自意識過剰な性格と思われる事です。その為、あくまでも冷静に、客観的に自分自身を見るように心がけましょう。

その為には、自己PRを考える際には、自己分析をしっかりと行い、自身の良い点と悪い点を理解する事が大切です。特に自身の悪い点を自覚する事は謙虚さにつながります。

その上で、自身の良い点をアピールする、ポジティブな内容にする事を心がけると良いでしょう。

転職を強みにする

新卒と比較して転職の場合は、前職を何らかの理由で退職している為、それを弱みに感じる人も多いでしょう。

特に複数回転職をしている場合は、相手にネガティブな印象を持たれやすく、どのように自己PRを書くべきか悩むと思います。しかし、回数に関わらず退職したという事実は、どれだけ悩んでも変える事はできません。

転職活動で大切な事は、ここから先、自分が活躍できる場を見つける事であり、採用担当者も将来の発展を目的に人材を探しているのです。

その為、転職をする事に対してネガティブな気持ちを捨て、転職を強みにする事だけを考えましょう。将来の希望を叶える転職活動において、将来に対するネガティブな気持ちや後ろ向きな発想は役に立ちません。

転職を強みにする為には、これまでの経験で得たものを次に生かす事です。その為には、これまでの経験を振り返り、自分が得たものや今後に活かせる経験や「何か」について、しっかりと見つめ直しましょう。

それが転職の自己PRの基本であり、新卒には無い、転職の強みになります。

全体の構成を考える

自己PRだけでは無く、文章を人に読んでもらう場合、大切なのは「読みやすさ」です。いくら立派な内容を書いていても、相手に最後まで読んでもらえなけば意味がありません。

読みやすい文章にはいくつものポイントがありますが、その一つに全体の構成を考えるという事があります。これは、文章、つまり、伝えたい事の全体像を客観的に整理する事です。

全体の構成を考える上で大切なのは、伝えたい事を分類して整理する事です。転職の自己PRでは例として、次の3つに分類する事ができます。

  • 自身の強み(アピールポイント)は何か
  • その根拠となる経験やエピソード(具体例)
  • その強みが次にどのように役立つのか(役立てたいのか)3

まず、何が強みなのかを相手に伝える為には、自身の強みを明確に示す事が大切です。その上で、強みの根拠となる具体的な経験やエピソードを示す事で、その強みに説得力が増します。

そして、その強みが次の仕事に生かされなければ意味がありませんので、強みをどのように生かせるのか、どのように生かしたいのかを示します。

尚、文章の長さについては、長すぎると読みにくく、短すぎても内容が伝わらない為、200~400字程度を目安にまとめると良いでしょう。

状況別の転職の自己PRの書き方&例文

①未経験 ※異業種で未経験職への転職

転職を機に未経験の仕事にチャレンジする事もあるでしょう。経験した業種や職種によって、得られる仕事のスキルは異なります。未経験の仕事に転職する場合、経験がない事を弱みに感じる事もあるでしょう。

しかし、仕事をする上での姿勢や考え方、社会人としての経験、どの業種や職種にも共通する仕事の基本的なスキルなど、業種や職種に関わらず得られる経験やスキルも多くあります。

例えば、コミュニケーション力、ストレス耐性、努力を惜しまない、負けず嫌い、段取りが良い、合理的な考え方をする、仕事の期限を守る、などです。これらを強みとして自己PRをまとめると良いでしょう。

【例文】

私の強みはコミニュケーション力があるところです。前職では総務部に勤務していました。総務部では庶務や労務管理など幅広い仕事を担当しており、社内、社外との関わりが多くありました。特に従業員の労務管理については、100名以上の勤務管理、休日や超過勤務の申請、各種手続きの支援などを行っていました。また、従業員に直接指導したり、相談を受ける機会が多くありました。当初は緊張したり不慣れな点がありましたが、仕事を通してコミュニケーション力を上げる事ができ、仕事を円滑に進める上でのコミュニケーションの大切さを実感する事ができました。このコミュニケーション力はどの職種でも役に立つと思います。今回は未経験の業種ですが、この強みを活かし、新しい職場でも早く仕事を覚え、お役に立ちたいと考えています。

【例文】

私の強みはストレスに強いところです。前職では機械メーカーの営業事務の仕事をしており、主にクレーム対応を担当していまいた。クレーム対応はマニュアルに沿って行うものの、お客様から厳しい口調での指摘やお叱りを受けるケースもありました。当初はそれに戸惑ったり、ストレスを感じる事もありました。しかし、先輩や同僚と対応について話し合ったり、ヒントを得ながら対処する事で乗り越える事ができました。その仕事を経験した事により、私自身、以前よりもストレスに強くなったと実感しています。どんな仕事でも仕事を進める上で様々な壁や困難があると思います。私はこの強みを活かして、通常はストレスを感じるような場面でも、それに負けず、しっかりと自分の役割を果たしていきたいと考えています。

②経験あり ※現職と同業種への転職

現職と同じ業種へ転職する場合は、現職の経験がそのまま強みとしてアピールできます。その場合は、現職に関して、できるだけ具体的な仕事内容やエピソードを書くと良いでしょう。

また、その業種の魅力や仕事のやりがいについて書いても良いでしょう。それにより、採用担当者も応募者が自社で活躍する姿を想像しやすくなります。

【例文】

私の強みは、現在も不動産業界で勤務しており、即戦力になる事です。現職では賃貸物件の営業として、主に店舗での顧客対応と現地案内、契約に関する業務を担当しています。また、宅地建物取引士を取得していますので、重要事項説明書への記名・押印や、重要事項の説明も行っています。この仕事のやりがいは、お客様に提案した物件がお客様に受け入れられ、喜んで貰える事です。お客様に頂いた沢山の笑顔が今の私を支えており、これからも不動産業界で活躍していきたいと考えています。この不動産業界での経験を活かし、即戦力として一日も早く貴社の業務に貢献していきたいと考えています。

【例文】

私は営業の仕事が好きであり、それが私の強みでもあります。現職は飲料メーカーの営業担当として販売店、卸売業者への営業を行っています。商品の提案や販売店の売場作りの支援など販促に関する業務を行っています。メーカーの営業の面白さは単純に当社の商品を売る事だけでは無く、商品を購入するエンドユーザーはもちろん、販売店、卸売業者の利益にも貢献できるところです。それにより流通業の一環を担っているという実感が得られる事、そして、取引先に仕事が認められた時に喜びを感じます。それが営業の魅力であり、この仕事にやりがいを感じる時です。今回、同業種への転職になりますが、これまでの経験と営業が好きだという強みを生かし、貴社の利益に貢献できるよう精一杯頑張ります。

③第二新卒

第二新卒の場合は社会経験が短い事から、仕事の経験は多くはありません。しかし、経験が少ない事は決してデメリットでは無く、新卒と同様に色に染まっていない、吸収力があるという強みもあります。

また、ビジネスマナーなど社会人としての基礎教育を受けている事、期間は短くても社会経験がある事は、新卒と比較しても強みになります。

自己PRとしては、性格や考え方、姿勢など、仕事の経験以外の強みや、社会に出て学んだ事などを盛り込むと良いでしょう。

【例文】

私の強みは決断力があるところです。前職は大学で栄養学を専攻していた事もあり、食品メーカーの商品開発の部門に勤務していました。そこでは商品開発という仕事の魅力や面白さ、難しさと同時に、先輩方の仕事の進め方や姿勢などを通して、社会人としての基礎や仕事への姿勢を学ぶ事ができました。商品開発はとてもやりがいのある仕事ですが、私は人と接する事が好きであり、食に関する仕事の中でも、より現場に近い仕事がしたいと思うようになりました。転職には勇気が必要でしたが、自分の希望を実現させたいという思いが強く、決断しました。転職は新しいスタートになりますが、この決断が間違っていない事を証明できるよう、一生懸命頑張ります。

【例文】

私は明るい性格であり、それが仕事においても強みになると考えています。前職は携帯電話の販売員の仕事をしていました。携帯電話のサービスや契約内容は一般のお客様には複雑に感じる事もあり、繰り返し説明する場面がよくあります。また、お客様も何度も質問する事を遠慮する場合もあります。そんな時にはできるだけ明るく、笑顔で対応する事で、お客様が質問しやすい雰囲気作りに心がけました。それにより次の来店時にも私を指名するお客様が複数あり、とても嬉しかったです。前職では、仕事をする上で、特にお客様に対しては、明るい対応が大切である事を学びました。この明るい性格を大切にして、新しい仕事にも活かして行きたいと考えています。

④転職回数が多い

転職回数が多い場合、仕事が続かないという印象を持たれやすく、転職活動ではマイナスに捉えられるケースが多いものです。しかし、その事実は変える事はできません。

その上で、いかに自分をアピールするかを考えましょう。つまり、転職回数が多い事を前提に、自己PRを考えるのです。履歴書を見ると、勤務期間や転職回数が多い事は一目瞭然です。

それなのに、忍耐力がある、我慢強い、根気がある、といった自己アピールはあまり説得力がありません。好奇心旺盛やチャレンジ精神がある、というのも、また転職してしまいそうで不安になります。

転職回数が多い場合は、これまでの仕事で一貫して取り組んできた事、学んだ事、大切している姿勢などをアピールすると良いでしょう。

【例文】

私は、これまで様々な仕事を経験してきましたが、私が仕事をする上で一貫して大切にしているのは、報告・連絡・相談です。それは、どのような職種、業種でも大切である事を実感しています。仕事をする上で、同僚や先輩、後輩、上司、取引先など、周囲との連携は欠かせません。そこでのコミュニケーションがミスを未然に防ぎ、たとえミスが起きても影響を最小限に抑える事ができます。報告・連絡・相談の中でも、私が特に大切だと考えているのは、悪い情報ほど、早く伝えるという事です。実際には難しい事ですが、これを徹底する事で、結果的に信頼関係を深める事ができます。この信念をこれからも大切にして、新しい仕事に取り組んでいきます。

【例文】

私の強みは気配りができる事です。これは、これまでの仕事を通して私が身につけた事であり、今後も大切にしたいと考えている事です。前職では、倉庫管理の責任者として勤務していました。約40名の女性パートが勤務しており、年齢や性格、生活環境の違いなどから、私が入社した当初は、人間関係の問題や仕事の不満が出やすい環境でした。そこで私は現場の巡回と声かけを強化しました。それにより、仕事の進捗状況はもちろん、雰囲気の変化にも早く気付く事ができました。また、スタッフへの声かけを積極的に行う事で、現場からの相談も増えました。その結果、現場の作業効率と定着率が上がり、入社2年目で所長に昇格できました。この事により、仕事において気配りがいかに大切であるかを改めて実感しました。この強みをこれからも活かして、新しい仕事でも貢献したいと考えています。

まとめ

自己PRは、転職活動の第一関門である書類選考をクリアする上で、大切なポイントです。また、面接前に採用担当者に伝える大切な情報になります。その上で注意したいのは、自己PRを面接に繋げる事です。

応募書類の中に限られた文字数で書かれた自己PRでは、その全ては伝わりません。面接では、採用担当者から自己PRに関する質問が必ずあると考えて良いでしょう。

採用担当者は自己PRの内容から、更に興味がある点や、再確認したい点について、質問を考えます。そこで大切なのは、自己PRの内容と面接の回答に一貫性がある事です。

面接の前には、自己PRの内容をもう一度確認し、質問に備えましょう。自己PRの目的は転職活動を成功させる事です。自己PRは転職活動全体においても、大切なポイントになる事を忘れないようにしましょう。